夢はデカペン

タカヤ　進行性胃癌 [編集]

去年から音信不通とは言わないまでも、連絡が取れにくい友がいた。
昨日携帯を鳴らしてきた声はあの懐かしい声だった。
しかし奥歯にものの挟まった調子でポツポツとしゃべりだした。
今までは決しってそんなことはなく断定するタイプの人間だっただけに首をかしげた。
心臓が悪いくらいで他に病気も怪我もなく、おまけに酒もタバコもやらない男なだけに妙にいぶかしんだ。
決して弱音を吐かない男がいつもとは全く違う口調で話し始めた。
去年から診察してもらっていた胃が進行性胃癌で、今年の四月に胃を全摘したと。
その後も体調がすぐれず点滴だけでずっと入院している。
親戚には知らせたが、仕事仲間も一切知らせてない。
いつ逝くかわからないので連絡させてもらったとのこと。
顔に死相が出てるので会うのは勘弁してほしいとのこと。
悲しい知らせだ。


人の一生ってわからないもんだ。
死なないで欲しい人間ほどいく。


今日、銭湯の前を通ったら｢猫もらってください｣の張り紙があった。
よくみたら知り合いの二匹の猫の写真。
ってことは飼い主になんかあったのかなと思って連絡を取った。
つながらない。
電源が切れたままだ。
この人も去年に胃を全摘した。


今までに悲しい知らせは二度受け取った。
家族以外で。